麻雀
麻雀はできるが、やらない。
周囲にはできない、知らない、ということにしている。
ガキの頃、麻雀のルールを親父に教わった。
親父が若い頃、営業の仕事をしていた時に、散々麻雀をやったという。
相手に応じて勝つことも負けることも自由自在だと言っていた。ホントかな。
その親父が俺に麻雀を教えながら、何度も言った。
麻雀はやるもんじゃない。
麻雀をやることによって、若い頃の貴重な時間がどんどんなくなっていく。
お前が大人になったら、麻雀の誘いは全て断れ。断れないなら、麻雀を知らないってことにしておけ。
自分の失敗を息子が繰り返さないようにと、何度も丁寧に繰り返し語りかけてくれた。
その言葉をずっと覚えていて、学生の頃も、社会人になってからも、麻雀を知らない人で通してきた。
麻雀をやっていればそれなりに楽しい時間を過ごせたのかもしれないが、やらなくても別にどうということはなかった。
そして現在に至る。
職場には麻雀好きな人が何人かいるが、俺が麻雀できるとは一言も教えていないので、お誘いが来ない。
俺自身も特に興味はない。
でもそれで別に困らない。
別の世界線があって、麻雀に振り回されて困ってる自分がいるのかな、とふと思うことはある。
そういえば昔、東風荘というゲームを暇つぶしに遊んでいたな。それすらも他人には教えていないけど。懐かしい。
そんなに勝てなかった気がする。